FW:( no title )

あれからどれくらいの日数が経ったんだろうか。亮太はあれからも不安定のままだな…体が傷だらけだ…至るところが痛い。自傷しないと、安定できないんだろう…適合者といたころの亮太が直近だと一番安定していた気がするな。相手から見たら不安定だったろうけど、適合者といたから亮太は笑えて、前を向こうとしていた。

あいつが今唯一もっているものが、縁結び的なもの?みたいだな。どこで手に入れたのかわからないが、ずっと大事に持っている。亮太は一人で自分と向き合い、一人で過去に受けた治療を無理矢理自分でやって、少しでも前を向こうとしている。統合したら、俺たち副人格が犯してきた罪や問題を目の当たりにする。統合せずに俺たち副人格が消えたら、あいつは記憶を失い生活能力をなくしてしまう。どっちをとっても地獄だよな。それなのに自分自身だけを恨み、他の誰に対しても怒りを持ってねー。今のこの状況ですら、「少し前の世界よりマシなんだ、この世界をあの人が教えてくれたから、馴染めたらきっとよくなる、あの人はそれを教えてくれるためにいてくれた。」ってよ…

…亮太には、医者や一緒に過ごした人間が必要なはずなんだよ…記憶の正否が分からずあいつは苦しんでいる。記憶は、一人じゃどうにもならない部分が多い。だけど…亮太は、話したことが、全部人間にとっては嘘でしかない。そんな俺たちが、人間になにを聞く?また苦しめるのか?って悲しい目をする。

あんたに、初めて会った時に言われたよな。『朔は、人の心がわからない、ただの人殺しで、1番殺してるのは亮太の心だ』ってさ。あの頃は否定してた。だけど…今ならそうだなって思ちまうよ。あいつの適合者にも人殺しって言われたしな。今は認めるよ。俺は人間を壊し、亮太も壊してきた破壊の人格だ。俺のせいで、あいつは全てを失ってしまったんだ。俺があいつの適合者に傷を負わせた。ブロックされることになったのも俺起因だった。あいつの心を壊したのは俺、あいつが必要とした人間を壊したのも俺。

今のあいつだけを残し、俺たち人格は消えるべきだろう。俺にできる唯一のことは、内面世界から亮太だけを押し出し、俺たち副人格は永遠に眠ることだろう。そうなったとき、亮太がどうなるのかはわからねーけど、これ以上、苦しまないでほしいしな。適合者がいてくれたから、亮太が変わったのなら、それでいい。あいつが生きてくれるならそれが一番だよな。俺たちが消えても、適合者は戻らないだろうが…

閉ざした亮太の心を溶かして、この闇の中から外に、そして声をかけられるのも、この世には適合者だけなんだが…俺のせいで…亮太の時間は止まってしまった。この先、亮太の心を救えるのは今はいない。

ずっと…怯えている。何かを思い出すたびに、亮太の心が壊れる音がする…俺たち人格は記憶をカケラとして見ることができるんだ。あかりの記憶は全て俺がまとめて持っておくよ。亮太もあの適合者のことをまとめられたらいいんだろうが…不安定で、自分を見失っている今の状態じゃ厳しいんだろうな。

「助けて」と言いたくても、言える相手がいない…俺たち人格が亮太から奪った。亮太は「もう人間じゃない。俺は人の皮を被った化け物。気持ち悪い。汚い。怖い。人間に不快感しか与えない存在だ。もう大切な人の心を傷つけたくない。忘れられて、記憶の中からも消えたい。」と紙に書いていた。それだけ俺たちの存在が、亮太を追い詰めてたんだ…そして、亮太を助けようとしてくれた周りの人間たちを追い詰めた。

壊れた亮太の心を…どうか守ってあげて欲しい

いつか…亮太に幸せが訪れることを…亮太は永遠に止まった時間の中で苦しみ続ける…忘れることも…吹っ切れることもできず…永遠に自分を責め続け…記憶の正否を見極めることもできず…そんな中から救ってやって欲しい…誰かに届くのなら…